中立的FPが解説!iDeCo(イデコ)・NISA(ニーサ)の仕組みと活用法
今さら聞けない、iDeCo、NISA…
『iDeCo』や『NISA』はオトクって聞くけれど、そもそも何なのか、何がお得なのか、どうやって始めるのか…
知りたいことはたくさんあるのに、銀行や証券会社で勧められることもあまりないし、本を読んでも難しい…
そこで、iDeCoやNISAについてお話ししたいと思います。
iDeCoやNISAが誕生した理由は?
1990年代までと2000年以降で、お金にまつわる環境や法律が大きく変化しました。
90年初めに5-6%あった定期預金の金利が、2000年を境にほぼゼロ金利となり、預貯金ではお金が増えなくなりました。
これが、資産形成に「自助努力」が必要となった大きなきっかけです。
この「努力」の成果によって、資産は増えたり減ったりします。そしてその結果は「自己責任」の一言で片付けられるようになりました。
金融の世界ではこれが常識なのですが、日本は長いあいだ定期預金だけで暮らせる時代でしたので、その変化ついていけない私たちは、これを「不確実」という言葉で片付け、現実から逃げてきました。そして、国もその変化に対して、なかなかサポートしてくれませんでした。
国が重い腰を上げて、私たちが努力するための「サポート」を用意してくれたのは、ここ数年の話です。
それが、iDeCoとNISA。
どちらも、税制が優遇されるという「制度」、つまり「箱」です。
この「箱」の特徴もまた、昭和時代とは違う、今ならではのものです。
- 使うも使わないも本人の自由。知らない人もまだ多い。(販売する金融機関にメリットがあまりないため、積極的に宣伝していない。)
- 箱の「中身=運用方法」は、自分で選ばなければならない。その結果も自己責任。つまり、元本保証ではない。
したがって、この「箱」と「中身」を理解し、目的に合わせて賢く使うことが大切といえます。
では、まずそれぞれの「箱」の特徴を見ていきましょう。
iDeCoとは…
iDeCo(個人型確定拠出年金)の一番の特徴は、管轄が「厚生労働省」ということでしょう。
つまり、年金の補完というのが目的となります。そのため、どんなに早くても60歳にならないと引き出せません。(保険のように、ペナルティを払ったら引き出せるといったことができません。)
iDeCoは、毎月一定の金額を積み立て、あらかじめ用意された金融商品の中から自分で選び(1個でも複数でも可)、60歳以降に年金または一時金で受け取るものです。
税制優遇
- 積立金額はすべて「所得控除」の対象であり、所得税や住民税の節税効果があります。
- 運用益は「非課税」です(普通に株や投資信託を購入すると、儲けに対して20.315%の税金がかかります)。
- 受取る場合、受け取り方によって「公的年金控除」もしくは「退職所得控除」が使えます。
毎月の積立額は自由に設定できる
- ただし、職業等によって、上限額があります。
- 積立の休止や再開も自由です。
iDeCoを取り扱う証券会社・銀行・保険会社等で申込できる
- 金融機関ごとに「口座管理手数料」や、選べる「金融商品」など異なります。
注意点
- 60歳までは、原則引き出せない(手数料を払ってもダメ)ので、利用目的は、必然的に「老後資金」に限定されます。
- 掛金の所得控除は、そもそも所得税を払っていないと恩恵が受けられないので、専業主婦の方や、住宅ローン控除などある人はメリットを享受できません。
- 受取る場合の「退職所得控除」や「公的年金控除」には控除額に上限がありますので、場合によっては受取時に課税される可能性があります。
NISAとは…
iDeCoの管轄が「厚生労働省」であるのに対し、NISAの管轄は「金融庁」です。つまり資産形成の「手段」として位置付けられますので、使用目的は何でもOKというのが、一番の特徴でありメリットといえるでしょう。
NISAは資産形成を目的としていますので、「中身」に、個人向け国債などの「債券」や、MMFなどの「公社債投資信託」などは選べません。もちろん、iDeCoの中身で選べるような「定期預金」や「保険」も選べません。
また、iDeCoのように、掛金の節税メリットなどはありませんが、運用益(=株式や投資信託を保有したときの配当金・分配金や、売却益)が非課税となる制度(通常は、20.315%の税率)です。個人的には、約20%の税金が非課税というだけで、かなりの税制メリットであると思っています。
用途に応じて3種類ありますが、どれも時限措置となっており、「ジュニアNISA」は2023年に廃止されます。「一般NISA」や「つみたてNISA」は当初よりも延長されましたが、今のところ一般NISAは2028年まで、つみたてNISAは2042年までとなっています(再延長の可能性もゼロではありません)。使えるうちに、活用したいものですね。
用途に応じて3種類
- 一般NISA:一括で買っても、積立で買ってもOK。株式やほとんどの投資信託が買える(2024年より仕組みが変わります)
- つみたてNISA:積立専用。選べる商品は、金融庁が厳選した投資信託のみ
- ジュニアNISA:子供専用。18歳までは引き出せない(2023年に廃止)
いつでも引き出し可能(ジュニアNISA以外)
- その性質上、長期投資が原則ですが、運用期間に関係なく、必要な時に一部でも全部でも引き出すことができます(ただし、その時の時価)
- 引出しの際の手数料(=ペナルティ)などもありません。
NISAを取り扱う証券会社・銀行等で申込できる
- ただし、金融機関によっては「一般NISA」のみ、もしくは「つみたてNISA」のみ取り扱いの場合があります。
注意点
- 保有できるNISA口座は、一人ひとつのみです。一般NISAとつみたてNISAを同時に保有することもできません。
- ただし、1年(1月1日~12月31日)ごとの管理なので、毎年、NISAの種類(一般⇔つみたて)を変えることも可能です。
一般NISA(2023年まで)とつみたてNISAの違い
一般NISA※1 | つみたてNISA | |
買える商品 | ・株式 ・株式投資信託 ・ETF(上場投資信託) ・J-REIT(上場不動産投資信託) |
金融庁が厳選した※2 ・株式投資信託 ・ETF |
1年間の買付限度額 | 120万円 (一括でも積立でもOK) |
40万円 (積立専用) |
非課税期間 | 5年間 (ロールオーバーで最長10年間) |
20年間 |
※1:2024年以降は、ルールが変更になります。
※2:①販売手数料が0円、②信託報酬が安い、③分配金が頻繁に支払われない。といった条件から厳選されたもの。
目的に応じて、iDeCo・NISAを使い分けましょう
目的が、「老後資金」のみでしたら、「掛金の税制メリット」があるiDeCoが大いに活用できるでしょう。
一方、NISAは、目的問わず、期間も問わずという「使い勝手の良さ」がメリットですので、老後資金以外にも、子供の教育資金や、住宅ローンの繰上返済やリフォーム資金、車の購入資金など、何にでも使う事ができます。
意外と盲点なのが「医療保険」代わりのNISAです。支払う保険料に対してもらえる給付金のコスパがあまりよくない上に、入院・手術しないと給付金がもらえない医療保険に対し、NISAは入院時にも使う事ができますし、当然、元気な時にも使えます。
気を付けなければならないのは、iDeCoもNISAも、目的までの期間が短い場合はあまり向いていません。
なぜ期間が短い場合は向かないのか、それは「中身」が大きく関係してきます。
「中身」の内容や、その選び方については…
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